温暖化で冬が寒くなる?
温暖化で冬が寒くなる?
日経サイエンス(2013年2月号)で興味深い記事を見かけました。地球温暖化というと、当然夏も冬も気温が上昇するものだと思っていましたが、日本を含む中緯度では冬が寒くなる可能性があるとのことです。
http://www.nikkei-science.com/201302_050.html
地球規模の気候予測は、影響する要因が多くシミュレートすることが難しいようですが、単純化して書くと下のような図式のようです(赤字が重要な様子)。
海水の温度上昇で地球規模での空気の流れが変わり、冬になると北極から中緯度地域に風が流れてきやすくなる、というメカニズムのようです。専門的には「北極振動」「北大西洋振動」という現象で語られるようですが、キチンと理解出来ませんでした。。
北極振動
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%A5%B5%E6%8C%AF%E5%8B%95
北大西洋振動
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E5%A4%A7%E8%A5%BF%E6%B4%8B%E6%8C%AF%E5%8B%95
様々な研究者が温暖化含め、地球の気候変動のモデル化やシミュレーションに取り組んでいるようですが、パラメーターが多く因果関係を示すことが非常に難しいようです。
これが正しいかは分かりませんが、面白い(厳冬続きになったら面白いとか言っていられませんが・・・)仮説だと思いました。
日本でも同じような研究結果があるようです。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/431868.html
2100年の科学ライフ
正月休みを利用して興味深く読みました。
著者(ミチオ・カク氏)は、「超ひも理論」専門の理論物理学者。科学の普及活動にも熱心でアメリカのTV番組(ディスカバリーチャンネル)にも出演しているようです。ちなみに日系アメリカ人3世だそうです。
世界のトップクラスの科学者300人以上へのインタビューを行い、2100年の科学、及び人々の生活を予想しています。この本が特徴的なことは、
・科学者の視点で描かれており、物理法則に基づいた予測がなされている
・描かれているテクノロジーのプロトタイプは、(実験室レベルではあるが)既に存在している
ということです。どんなに突飛な内容でも、当てずっぽうではなく根拠を元にして予想を立てています。多くの人が未来予測をしていますが、このような視点での予測は希少だと思います。
1)コンピューター、2)人工知能、3)医療、4)ナノテクノロジー、5)エネルギー、6)宇宙旅行、7)富、( 8)人類)の切り口で、
a)近未来(現在〜2030年)、b)世紀の半ば(2030年〜2070年)、c)遠い未来(2070年〜2100年)
の時間軸で予測をしています(図1)。
※※※
未来予測の各論も興味深いですが、著者の科学や歴史を大きく捉える考え方が面白いと感じました。たとえば「穴居人の原理」。
テクノロジーの予言が必ずしも当たらないのはなぜか?の問いに対する仮説です。
・オフィスはペーパーレス化する
・サイバー観光客が増え、実際に観光に行く人はいなくなる
・自宅でテレビ会議をするようになり、オフィスに行く人はいなくなる
などの予想は昔からなされているようですが、今のところ現実のものとはなっていません。
10万年以上前の原始人(穴居人:けっきょじん)の時代から現代まで、ヒトの遺伝子や脳、人格は大きく変わっていないようです。穴居人は生き抜くために「獲物の証拠」を求めており、その欲求は今にも受け継がれている。そして、現代のテクノロジーと原始的な祖先の欲求がぶつかる時は必ず、原始の欲求が勝利を収めるという仮説です。
電子情報を本能的に疑うので、不要なときでも電子メールやレポートを印刷するためオフィスはペーパーレス化を完全には実現出来ていない、ということです。
コミュニケーションツールは進歩しているけれど、結局実際に会って話をするのが一番良いとか、人はジェスチャーなど非言語的なツールで7割程度?コミュニケーションしている、などと言われるのも穴居人の原理と関連しているのだと思いました。
一方で、オンラインショッピングが浸透し、デパートなど実店舗にも大きな影響を与えているケースもあります。「穴居人の原理」はテクノロジーが浸透する際の抵抗力となるが、必ずしも絶対的なものではない、と捉えました。脳のシナプスは「可塑的」と言われていますが、穴居人と現代人の脳を解析していくと実は違いがあった、などということもあり得るかもしれません。
新たなテクノロジーを浸透させるためには、いかにして「穴居人の原理」を乗り越える仕組みを準備するか、が重要になるのだと思いました。
※※※
またテクノロジー進化の4段階の法則、というものも興味深いです(図2)。テクノロジーが発明された第一段階から、個人用に普及しはじめる第二段階、大幅なコストダウンで大衆に普及する第三段階、装飾的な使われ方となる第四段階を経る過程を整理しています。
インタビューなど多くのインプットを元に、著者が深い洞察をされているのがよく分かる興味深い本でした。
- 作者: ミチオ・カク,斉藤隆央
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2012/09/25
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[BOND] Happiness!
今年前半に取り組んだ科目の単位を無事取得出来、残すところBusiness Planのみとなりました。来年5月のStudy Tourで卒業を目指します。
必須単位ではありませんが、昨年受け損ねたHappinessに関する科目”Value Based Marketing(VBM)”を受講しました。(※昨年まではMarketing in the New Economyという科目名)。
幸せとは何か? を考え、企業はどのような行動をとるべきか?を考えます。唯一の答えの無い問いですが文献を読み、考え、クラスメートと議論できたのは貴重な経験でした。
企業経営において、利益追求一辺倒ではなく顧客、従業員、地域社会などなどの幸福創造に貢献することが重要になってきています。心理学の分野でも「幸せ」がテーマとして取り上げられ始めているようです(ポジティブ心理学と呼ばれています)。この科目ではポジティブ心理学の研究結果をベースに幸せとは何かを洞察していきます。
※※※
ポジティブ心理学者の一人のマーティン・セリグマンによると幸せは3つの要素から構成されます。
1. 心地よい生活(Pleasant Life)。お酒を飲んだり、気持ちの良い天気の日に美味しいコーヒーを飲んだり。
2. 良い生活(Good Life)。仕事に没頭したり、家族や友人と共に時間を過ごしたり。
3. 意義のある生活(Meaningful Life)。人生の意義を捉え、自分の強みを生かして生きる。
短期的な快楽や富の追及は、一時的な高揚感をもたらしますが長続きしません。これは直観的にも理解出来ます。宝くじに当たった人の「その後」を調査すると、ほとんどの人は宝くじに当たる前と同じか、それ以下まで幸福感が下がってしまうとのことです。
もちろん、短期的な快楽も人生のスパイスとして重要ですが、長期的に幸福感を感じるには、良い人生、意義のある人生を目指すことが重要になります。
※※※
これまでの研究から、個人の幸福度は 1)遺伝的要因、2)環境要因、3)個人の意志から成り立つことが分かってきています。大まかに影響度を見積もると以下のようになります。
1)遺伝的要因:50%
2)環境要因:10%
3)個人の意志:40%
双子の研究から遺伝的要因が幸福度に及ぼす影響は大きいことが分かってきています。学歴、家族構成、年収なども幸福度に影響を与えますが、想像するより影響度は小さく10%程度。個人の意志で40%程度変えることが出来るとのこと。
では個人の自由意志とは何かというと、、、
・よく笑うようにする・・・楽しいから笑うというより、笑うから楽しくなる
・楽しそうに仕事をする・・・これも同じです。楽しそうに仕事をすると楽しくなる
・他人に親切をする・・・まさに「情けは人のためならず」。誰でも人に親切にした後は幸福感を味わうものだと思います。
・足るを知る・・・短期的な快楽や物質的な富を味わうのは良いですが、支配され溺れない
・今を一生懸命に生きる
などなど。
格別目新しいことではありませんが、実際に実践出来ているかとわが身を振り返ると、必ずしもそうではありません。おそらく大昔から(少なくともギリシャ時代から)人々は幸福の真理に気づいていて、最近の科学がそれを証明しつつあるのだと理解しました。
どのような人生を歩むかは一人一人の判断なので非常に深いテーマで答えはすぐに出ませんが、自分がどのように生きたいかを考えるキッカケとなりました。MBAコースに幸福論の科目があることに驚きましたが、先生がおっしゃるように、大学では具体的な how to だけではなく、抽象的な思考を学ぶ訓練をすることにも価値があるのだと思いました。
大学時代、あまり真面目に一般教養科目を受講していませんでしたが、もったいないことをしたなぁ、と思い返しました。(おそらくもう一度大学時代に戻っても、同じように真面目に受講しない気もしますが・・・)。
世界でひとつだけの幸せ―ポジティブ心理学が教えてくれる満ち足りた人生
- 作者: マーティンセリグマン,Martin E.P. Seligman,小林裕子
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HAPPIER―幸福も成功も手にするシークレット・メソッド ハーバード大学人気No.1講義
- 作者: Tal Ben‐Shahar,タル・ベンシャハー,坂本貢一
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レ・ミゼラブルとグローバルルール
先日公開になった映画「レ・ミゼラブル」を見ました。ユゴーの小説を元にしたミュージカルをベースに創られており、映画もミュージカル調です。以前、ロンドンで「レ・ミゼラブル」のミュージカルを見たことがありますが、聞き覚えのある歌ばかりで懐かしく思い出しました。改めて聞いても、素晴らしい歌ばかり、特に「民衆の歌」(“Do you hear the people sing?”) は印象的です。
予告編
https://www.youtube.com/watch?v=VoCGLi82O7I
“Do you hear the people sing? (民衆の歌)”
https://www.youtube.com/watch?v=r3whOHc5y9Q
映画「レ・ミゼラブル」HP
http://www.lesmiserables-movie.jp/
登場人物の一人、警部ジャベールは法が全てという思想の持ち主で、20年以上前にパンを一つ盗んで服役させられた主人公のジャン・バルジャンを今でも執拗に追い続けます。あるキッカケでジャベールが、ジャン・バルジャンに情けをかけられたことで、信念が揺れ動き葛藤する様子が描かれています。
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ちょうど読んでいる「競争戦略としてのグローバルルール」という本の中に、法に対する日本人と欧米人の態度の違いが比較されていました。
日本人は、「法は与えられたもの」と認識しルールを権威と同一視する受動的なルール観が根強い。一方、欧米ではルールは未来に向かってつくっていくもので「法は目標」と捉える。そして、試しに法を作り“実験”してみて、うまくいかなければ修正していく柔軟さを持つとのこと。
「レ・ミゼラブル」に描かれているジャベールは、「法は与えられたもの」で権威と同一視する思想だと思いました。ジャベールが特殊だったのか、フランス人の法に対する態度がこの150年ほどで変化したのか。後者だとすると、何が変化点だったのかが気になります。日本人の法に対する態度も変わる可能性があると考えられます。
- 作者: 藤井敏彦
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
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Kindle到着
久しぶりの更新です。
以前から気になっていたkindleの日本語版が発売になったので購入してみました。予約受付開始の次の日(10/26)に予約をしましたが、到着したのは12月中旬。人気が高いのか、それともあまり生産していないのか・・・
購入したのは”kindle paperwhite WiFi+3G版”。液晶ではなく白黒の電子ペーパーですが、本当に紙の様な感覚で目が疲れにくいです。ライトがついている分、紙よりも読みやすいです。
Kindleを一週間ほど使ってみての感想です。
<良い点>
・文字が読みやすい。明るさ調整も可能で暗い所でも、明るいところでも読みやすい。さすが電子ペーパー。
・軽い。片手で持っていても疲れない(*)。
・薄い。持つにも不便を感じず、カバンにもコンパクトに入ります。
・書籍の購入が簡単。1クリックで1分以内にダウンロード出来ます。
(*) kindle paperwhite(221g)は、ipad mini(308g)より軽い。一般的に文庫本が150〜300g程度、ハードカバーが500g程度とのことで、文庫本と同じ程度の重さのようです。
<不満な点>
・パラパラ読みがしづらい。紙の本はパラパラ流し読みで全体感を掴みやすいのですが、kindleでは難しい。ディスプレイ端末という形態に加え、電子ペーパーは応答速度が速くありません。普通に本を読む分にストレスを感じることはありませんが、パラパラ読みは難しいです。
・日本語コンテンツが少ない。購入前から分かっていましたが、読みたい本を探しても大抵kindle版がありません。徐々にコンテンツが増えていくことに期待です。
総じて見ると、文字を読むディスプレイ端末としては非常に良い出来だと思います。コンテンツが増えてくれば、用途に応じてkindleと紙の本を使い分けていく感じでしょうか。移動中や出張先での読書や、寝る前に寝転んで読むのに良いと思います。
スクリーンセーバーも洗練されていると思います。
秋保温泉の魅力
先日、宮城県の秋保(あきう)温泉に行ってきました。仙台駅から西に車で40分ほど行ったところにあります。秋保温泉の歴史は古く、6世紀の欽明天皇時代まで遡るようです。このときに天皇から「御湯」の名を賜ったとのことで、「日本三御湯」とされています。戦国時代には伊達正宗も隠れ湯として利用していたとか。
周囲には磊々峡(らいらいきょう)という渓谷や、秋保大滝など自然が豊かです。域内にある15軒ほどの温泉宿は名取川沿いに位置し、秘湯の雰囲気も醸し出しています。
伝承千年の宿「佐勘」を利用しました。歴史ある宿のようで施設も充実しています。温泉は大浴場、伊達正宗の湯浴み場を再現した名取の湯、名取川を眺める露天風呂の河原の湯、の三種類があります。どのお湯も歴史を感じさせながら清潔感もあり、気持ちよく利用することが出来ました。
お料理は海のもの、牛タン、すき焼き鍋を頂きましたが、どれも申し分ありませんでした。食後は宿内にあるワインバーに繰り出し、大満足。機会があればまた利用したい宿です。
http://www.sakan-net.co.jp/
一泊した後、磊々峡(らいらいきょう)と、秋保大滝を見て回りました。河口では大河となる名取川もこの辺りでは川幅も狭く、まさに渓谷です。大きな石もゴロゴロ。
秋保大滝に向かう途中の光景。もののけ姫が出てきそうな雰囲気です。
東北には秋保温泉の他にも魅力的な温泉が多くあるようです。別の温泉も訪れてみたいと思います。
Marketing Strategy
このところ仕事とBONDの課題に追われ更新が滞っていました。気がつけば梅雨も明け夏になりました。
Study Tourの後、Marketing Strategy、Sustainable Businessを終えました。Financing Entrepreneur (FEV) はFinal Examを残すのみです。Corporate Strategyの最終論文も提出し残すはFinal Examのみ。全ての科目が通る前提でBusiness Plan+1科目で卒業、というところまできました。
Marketing Strategyはケースメソッドの講座。ハーバードビジネスレビューから5本の論文をピックアップしケーススタディを行いました。
・各時、レポートを作成(3000文字〜5000文字程度、日本語)
・Air Campusでディスカッション
・Virtual Classで担当の平久保先生が解説
というサイクルを毎週1本ずつこなしていきます。
ケースのお題はイケア(家具屋)、Rosewood(高級ホテル)、Read(スーパー)、リッツカールトン(高級ホテル)、Springfield(野球場)でした。それぞれ学ぶべきテーマが埋め込まれており、レポート作成→ディスカッション→Virtual Classと一巡すると理解が深まります。
毎週提出のレポートのボリュームが多く、かなり時間をかけて取り組みました。途中スタディツアーと時期が重なりAir Campusの投稿数は、ほぼ最低ラインといった感じになってしまいました。時間を確保出来ないなか受講しましたが、この講座は学ぶところが非常に多かったです。
平久保先生もおっしゃっていましたが、ケースメソッドを学ぶ意義として、
1) お題になった企業の業界に詳しくなる
2) 思考プロセスには正解がないが、どこに目をつけたらよいか気付くようになる
ということが挙げられると思います。
一人で学ぶのも一定の効果があると思いますが、ディスカッションをすることで理解が深まります。ケースメソッドのディスカッションはAir Campusのようなwebベースの掲示板と相性が良いと感じました。おそらくリアルな教室で議論すると、限られた人しか発言出来ないと思います。また、時間が限られているため、ディスカッションから得られた気付きを基に、詳細情報を調査しようとしても発表するタイミングがありません。Air Campusでは、他者の発言を見ながら必要なところを調査しながら議論を深めていくことが出来ます。
大前先生が出す毎週のRTOCS (Real Time On Line Case Study)も学ぶところが多いですが、ある程度確立されたケースからの学びは大きいと感じました。RTOCSでは必要情報の調査に結構時間が取られますが、ケースメソッドでは既に必要な情報が提示されており、重要な判断をするためのプロセスに意識を集中することが出来ます。さらに、(おそらく意図的に)学ぶべきテーマが埋め込まれているため、取り組んだ後にケースのポイントがクリアになります。(RTOCSは大前先生の解説を聞いても、時々モヤっとしたまま終わることがあります)。
BOND受講生の方でMarketing Strategyを受講しようかと悩んでいる方がいらっしゃれば、是非受講することをお勧めします。