Power Sleep 〜クオリティ・オブ・ライフ向上のための睡眠学〜

とあるキッカケで「シモンズ」というベッドメーカーのサイトを見ている際、
「眠りの科学」を記した"Power Sleep"という本があることを知りました。
著者は、心理学博士。シモンズUSAの技術顧問。
http://www.simmons.co.jp/learning/sleep/best.shtml


常々、マトモに考えたり活動するには、十分な睡眠時間が必要。
今の生活は睡眠時間が圧倒的に少なすぎる、と感じていました。
世の中に睡眠に関する話や本は多くありますが、信憑性が高そうなものは少なく、
科学的背景がしっかりした情報を得たいと思っていました。


残念ながら翻訳されていないようでしたので、洋書にトライ。
(専門用語を除けば)平易な英語で書かれているので、
それほど苦労することなく読み進めることが出来ました。


著書の中にも「アメリカは(睡眠不足で)歩くゾンビに満ち溢れている。重大事故を引き起こすリスクが高く危険な状態にある。アメリカより悪いのは日本くらいだ」と書かれていますが、是非、日本語に翻訳し、日本にも正しい知識を広めてほしいところです。

「睡眠不足になると体調が悪くなる」というネガティブな話だけでなく、「起きている間、最高のパフォーマンスを出し、クオリティ・オブ・ライフを高めるため、正しい睡眠時間、睡眠方法を取ることが大事」と、睡眠をポジティブに捉えているところに共感しました。


面白いと思った話を、いくつか紹介します。

1. 十分な睡眠をとることで、起きている間のパフォーマンスが向上する。起きている時間を充実させ、人生の質(クオリティ・オブ・ライフ)を向上させるために正しい睡眠をとることが望まれる。

人は睡眠不足に陥ると、集中力が落ちミスが増えます。またキチンとした深い思考が出来なくなり、気分も沈みイライラしがちになります。睡眠不足は、社会的な事故リスク(自動車事故、飛行機事故etc...)を高めます。また、個人の視点で見ると、睡眠不足は人生の質を大きく損ないます。


よりよい人生を生きるため正しい(個人にあった)睡眠をとることが必要なのです。


2. 人によって必要睡眠時間は異なる。遺伝で決まっており、努力で変えられるものではない。朝型、夜型も人によって異なり、朝型の方が良い、と示す事実はない。睡眠時間とリズムが重要。

これはずっと私が持っていた仮説と一致します。
「三時間睡眠でも大丈夫。ナポレオンも三時間睡眠だった。」という話や、「早起きは素晴らしい」という迷信?をよく聞きます。実際に自分でも試してみたことがありますが、「自分には絶対に無理。たまたま短時間睡眠でも何とかなる人とか、体質的に朝型の人が武勇伝的に本を書いたり、喋っているだけに違いない。」と思っていました。


今の学校や企業のサイクルは、「短時間睡眠、朝型」が推奨される仕組みになっており、「長時間睡眠、夜型」の人は生活を送るのに苦労をしている。場合によっては根性論にすり替わり、「怠けもの」のレッテルを貼られる場合すらある。

私は長時間睡眠(9時間程度?)が必要、かつ夜型なので、とても納得。このようなタイプの人が、いかにhappyな暮らしていくか、に関しては書かれていませんでした。自分で見つけていくしかないですね。


3. 睡眠不足は蓄積する。預金口座や食べ物のカロリーと同じ。睡眠不足を解消するには、どこかで補充しないといけない。
これも実感として理解出来ます。平日、6時間程度の睡眠が続きますが、月→火→水→木→金と日を追うごとに、昼間の眠気が増していきます。そして、睡眠不足を解消するために土日で寝だめ、という繰り返しです。

仮に理想的な睡眠時間が8時間で、平日6時間睡眠を続けると、2(時間)×5(日)=10時間の負債がたまります。これを土曜日に取り戻そうとすると、8+10=18時間睡眠が必要になるという計算・・・流石にここまでは寝ないので、毎週睡眠不足が蓄積しているのでしょうか。

睡眠負債は出来るだけ早く返した方が良いとのことです。


4. 高い記憶力、思考力を発揮するために、REM睡眠が必要。短時間睡眠はREM睡眠の不足に通じ、思考力の低下を招く。
「REM(rapid eye movement)睡眠;覚醒に近い睡眠」には、1)記憶の保持、2)記憶の再構築、3)新たに記憶、思考するのに必要な神経伝達物質の補充 という役割があるそうです。REM睡眠が不足すると、記憶や思考に障害が発生します。

睡眠中、REM睡眠(浅い眠り)とNon-REM睡眠(深い眠り)が繰り返し訪れますが、そのサイクルは一定ではありません。睡眠時間upするとREM睡眠の比率もupしていきます。十分なREM睡眠時間を確保するという点で、断片的な短時間睡眠よりも、長時間睡眠の方が効果がある、ということが分かります。

http://www.circadian.co.jp/info/rhythm_f.htm


まだまだ興味深く役に立つ話はこのあたりで。
いかにして必要な睡眠を確保し、人生の質を高めるか?というのが、今後の課題です。

これまでの働き方、生き方のままでは難しいように思います。
・自分の働き方、生き方を見直し、何を本当に大切にしたいのかを具体的にしていくこと
・周囲、世の中に睡眠に関する正しい知識・認識を広めること
が必要になってきます。


長時間睡眠が必要で夜型人間として、何らかの形で同じように悩んでいる人のために貢献したいなぁ、と思ったりしました。

Power Sleep: The Revolutionary Program That Prepares Your Mind for Peak Performance

Power Sleep: The Revolutionary Program That Prepares Your Mind for Peak Performance

  • 作者: James B Maas,Megan L Wherry,David J Axelrod,Barbara R Hogan,Jennifer A Blumin
  • 出版社/メーカー: William Morrow Paperbacks
  • 発売日: 1999/01/01
  • メディア: ペーパーバック
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