平久保先生のセミナー

BONDでMarketingを教えて下さっている、平久保仲人先生のセミナーに参加してきまました。アメリカ在住、ニューヨークブルックリン大学で教鞭をとられる傍らBONDでも講義を担当して下さっています。アツい先生で話を聞いている側にも熱気が伝わってきます。
http://www.bbt757.com/servlet/ShowLecturer?lecid=0198

今回のテーマは、
ポジティブ心理学マーケティングに取り入れる」


ポジティブ心理学」は1990年代から注目され始めた学問分野とのこと。
従来の心理学は、「精神疾患をいかにして治すか?」が主要テーマだったのに対し、ポジティブ心理学は「ふつうの人がより幸せになるにはどうしたらよいか?」というのが主要テーマです。日本では、まだマイナーですが、欧米では注目が高まっており、政治、経済へ適用され始めているとのことでした。

人生の目的は幸せになることであり、幸せ感が高いほど各種パフォーマンスが高まる、という考え方のようです。
では、幸せとは何なのか?どういう因子で決まるのか?幸せになるために何が出来るのか?というのがセミナーのテーマでした。


話の結論としては、、、
幸せは三つの因子に分解出来る。
1. パーソナリティ Set Point (5割)
2. 環境 Condition (1割)
3. 自由意思による行動 Voluntary Activity (4割)

H(Happiness)=S(Set Point)+C(Condition)+V(Voluntary Activity)
という方程式で表していました。1〜3を簡単に説明します。

1. パーソナリティ(性格)
物事に対して、前向きか?後ろ向きか?というような性格は、個人の幸福感に大きく影響を与えます。(もちろん、前向きの方が幸福感が高い)。性格の約5割は遺伝で決まっているというデータがあるそうです。パーソナリティとやっていることがマッチしているかどうか?も重要です。

2. 環境
環境要因は幸福感に影響を与えそうですが、実際はそれほどでもないという統計があるそうです。デモグラフィー(人種、性別、、、)は3%程度。

3. 自由意思による行動
全身全霊をかけているか? 自信を持ってやっているか?ということがポイントになります。
また、
・楽しそうに仕事をすること
・笑うこと
・面倒くさがらずに、まめに動くこと
などの行動習慣も、人の幸福感に大きな影響を与えることでした。幸せだから笑うのではなく、笑うから幸せになる。

あれ?”お金”や”地位””成功”というのが入っていないじゃないか?と気になります。この辺りも議論になっており、平久保先生の現時点での判断としては、お金や地位や成功は「幸福感」にはほとんど寄与しない、という感じでした。
※お金もうけを否定しているわけではありません。高い価格でモノを売ることも、もちろんOK。私たちは、資本主義の枠組みの中で生きており、それを否定することは出来ません。幸せ感を与えるモノを作りだしていれば、結果的にお金は集まってくる。お金儲けは目的ではなく結果だという考えです。


根拠としては、、、
1) 年収ごとの幸福度を比較した統計。ある年収までは、年収 vs 幸福感に相関がみられるが、閾値を超えると相関が見られなくなる。(一つの目安は750万ドル〜700万円くらい)。
2) 人の欲には際限がなく、お金や地位を得て幸福感を感じるのは1年程度、その先は慣れてしまう。
とのことでした。とはいえ、お金がないと好きなことを自由に出来ないし、、、という考え方もあり、議論の余地はあるように思います。


平久保先生の主張は理想論に聞こえるかもしれません。ただ、本来の仕事の価値、働くことの意味を問い直すと、モノやサービスを提供することで、人々に幸せを感じてもらうようにすること、というのが目的のはず。まさに”傍を楽にする=はたらく”という考え方です(「働き方革命」より)。楽観的すぎるかもしれませんが、皆がhappierになることを求めていけば、毎日がもっと過ごしやすい世界になるかもしれないなぁ、とも思いました。


では自分はどうするか? 遺伝以外の5割(環境、行動)をどう変えていくか? 何に意義を感じるのか?
これらを明確にし、行動に移していきたいです。


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