「評価経済社会」の浸透速度

先日から紹介している「評価経済社会」に関する考察です。
SNSの流行やディズニーランドの好調さを見ると、
確実に評価経済社会が到来しつつあるのだろうなぁ、という気がしてきます。
一方で、普段の仕事をする上では評価経済社会の到来を感じることはありません。


なぜなのだろう??と考えていました。
いまはB to Bの製造業(企業向けに部材を作っています)で仕事をしていますが、
B to Bの製造業というのは、評価経済社会の影響を受けるのが一番遅いのだと思いました。


下図の縦軸に「顧客までの距離」を取りました。顧客までの距離が近いほど、
評価経済社会の浸透速度が速いという仮説です。

変化の影響を一番最初に受けるのは一般消費者(一個人)だと思います。
消費者の行動が変わると、徐々にその変化が浸透していき企業の行動にも変化が生じる。
そのため、B to C (Business to Customer)企業の方が変化を受けるタイミングは早いはずです。
B to C企業に浸透すると、"B to C企業"が"B to B企業"からモノ or サービスを買う際の
購買行動に変化が生じ、結果としてB to B企業にも変化が生じるのではないか。


一方で、下図の横軸には「変化のしやすさ」を取りました。
事業構造的に変化がしやすいほど浸透速度が速くなると考えました。
製造業のように工場に大きな設備投資をしている企業では、
世の中の変化を認識出来たとしても、なかなか大胆に事業転換するのは難しいように思います。
その点、固定費が比較的少ないサービス業の方が事業転換は容易かと思います。

つまり、B to Bの製造業の業務で、評価経済社会パラダイム・シフトを実感出来るのは
一番最後ではないか?と思うのです。

もっと言うと、、、
そもそも部材メーカーを始めとするB to Bの製造業は貨幣経済社会のパラダイムから、評価経済社会パラダイムに変わるんだろうか?という疑問があります。


i-pod、i-phoneのことはみんな知っているし評判も高い。
でも、i-podに使われている部材のことなんて、大半の人は知らない。
というのが現実です。


部材メーカーが評価経済社会で成功するために、
Appleなどの評価経済社会で成功しているメーカーと組み、部材をブランド化してしまう、という打ち手が考えられます。「i-podに使われている〜〜を作っているメーカーです」という感じです。ただ、Appleの立場に立ってみると、一社のみから部材を調達するのは、供給リスクが高いこと、価格競争が鈍くなること、からあまり好ましいと言えません。独占出来る技術があれば別ですが、各社しのぎを削っている中、なかなか難しいように思います。


ではどうしたらいいか?
従業員から”評判”を得るように努力する。部材メーカーの顧客は企業であり、顧客企業の購買行動に直接影響を与えることは難しいかと思います。それなら自社の従業員から”評判”を得て、世の中の人から「あの企業で働きたい」と言ってもらうようにすることが効果的かもしれません。結果として、顧客企業も「あの企業なら信用出来そうかも・・・」となる可能性もあります。


そう考えると、これからの時代、企業のステークスホルダーの中で「従業員」の重要性が増していくのかな、と思いました。


ライフネット生命の出口社長は、
「社長の仕事の9割は、社員が朝起きて会社に行きたい!と思える会社を作ること。」
とおっしゃっていますが、まさにこれからの時代にマッチしています。