追加考察〜ニッポンの生きる道〜

先日、「NHKスペシャル ニッポンの生きる道」に関する記事を書きました。
http://d.hatena.ne.jp/ushikubou/20110102

番組で紹介されていた、日本が元気になるための解決策(及び既に成功していることの成功要因)
を勝手に分類し、考察をしてみました。

1)「ニッポンブランド」希少価値をつけて高く売る・・・青森のリンゴ「大紅栄」
売り先を国内ではなく海外にしたこと、と作れる農家を増やさず希少価値を出したことが
成功要因かと思いました。
簡単に作れると「ふじ」みたいにいろんな国で作られてしまって、結局は価格競争になってしまいます。
国内で作るなら「その場所でしか作れない!」って状況を作るのが上手いやり方です。
実際、17,000戸ある青森のリンゴ農家の中で大紅栄を作っているのは僅か500戸とのことでした。

逆の発想をすると、生産者が海外に行って大量に作りまくって、日本に逆輸入という手もありそうです。

2) 日本のインフラを海外に!・・・新幹線
新幹線に限らず、原子力発電所も免震技術を含めて日本の技術が認められているようです。
(韓国から逆転受注へ、トルコ原発建設で日本有力)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20101223-OYT1T00858.htm

新幹線や原発などの技術を「解決策」として輸出していくことは、相手の国からすると「街づくり」に
近いのだろうと思います。当然、一社では出来ないでしょうし、相手国との交渉をすることにも
必要になるでしょう。
すでに新幹線はJRと大手商社が組んで売り込みをかけています。
また、インフラの輸出には莫大な資金がかかると想像できますが、国が資金を提供する意志決定をしたようです。
http://news.goo.ne.jp/article/ft/business/ft-20100406-01.html

このように「解決策」を輸出する”ハードな部分”が整っても、まだ不十分です。
新幹線のシステムをパッケージ化してマニュアルを作って「後はヨロシク!」って感じでは、
確実に上手くいかないでしょう。
その国の特徴(地理、気候、風土、政治、文化、人の性格など)に合わせてカスタマイズしていく
ことが必要になるはずです。

番組の中でも紹介されていましたが、まさに地道な「すり合わせ」という”ソフトな部分”が
必要不可欠だと思うのです。そして、これを実現するには、、、
a)優秀な現地人を雇って、技術内容と日本の文化を学ばせる。
b)日本の社員を現地に住まわせ、現地の特徴を学ばせる。
ということが必要になりそうです。いずれにしても、企業は物凄いコミットをすることが求められます。

インフラ会社ではありませんが、韓国のサムスンは b)を徹底して実行しています。
http://monoist.atmarkit.co.jp/fpro/articles/forefront/05/forefront05b.html

別の可能性としては、
c)日本企業が海外に進出することを助けるエージェント(コンサルティング会社とか?)が、
日本と現地をつなぐ役割を果たす。
ということが考えられます。
個別の事例は知りませんが、Googleで「コンサル 日本企業 海外進出」と検索すると329,000件もヒット
するので、各社必至に取り組んでいるのでしょう。
そのうち、インドに行くならこのコンサル、カンボジアならここ、という風にすみ分けが出来ていく
のではないでしょうか(既にすみ分けされているのかもしれませんが)。

このように、日本の技術を「解決策」として売ると一言で言っても、
ハード面、ソフト面ともに相当気合いがいることが分かります。

3) 日本が解決する人類の課題・・・ロボット工学
藻谷浩介さんが「人口の波」と表現しているように、日本の生産人口は減少しており、
高齢者が増加しています。そして今後もこの傾向は変わらないと予測されています。


国立社会保障・人工問題研究所HPの左下「人口ピラミッドの推移」というムービーを見ると、非常によくわかります。
http://www.ipss.go.jp/

一般に、戦争や疫病の大流行などがない限り、人口ピラミッドはかなり正確に予測出来ると言われています。

「国のアウトプット=生産人口×生産性」と考えると、よっぽど生産性を向上させない限り、生産年齢人口が減少する国は衰退することが自然。
ロボット工学は、このような”常識”を覆すことが出来る可能性を秘めていると思っています。

また、アジアの各国も近い将来に高齢化社会を迎えることが予測されています。

老いてゆくアジア―繁栄の構図が変わるとき (中公新書 1914)

老いてゆくアジア―繁栄の構図が変わるとき (中公新書 1914)

日本が人口減少社会でも発展出来る可能性を示せれば、人類にとって大きな貢献となるでしょう(楽観的すぎでしょうか)。