ライフネット出口社長と「ちきりん」さんの対談

ライフネット生命の出口社長と、人気ブロガー「ちきりん」さんの対談を聴きに行ってきました。
http://www.academyhills.com/school/detail/tqe2it00000eix8o.html


30分ほど遅れて到着。出口さんの講演を半分ほど聞き逃してしまいました。
出口さんは、ゆっくりと聴衆の心に染みいるような話し方で、じっと聞いているうちに不思議と引き込まれていきます。言葉の端々から思考の深さ、歴史に対する造詣の深さを感じます。


出口さんのお話も楽しみにしていましたが、本日のお目当ては「ちきりん」さんとの対談。
このブログでも紹介したことがありますが、「Chikirinの日記」を書かれている人気ブロガーです。
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/

世の中で起きていることを、いつも斬新な切り口で分析されています。
ゆるキャラ」「おちゃらけ社会派」を自認しておられますが、実際に話を聞くと、非常にしっかりしており頭が良い方なのだなぁ、と感じました(文章を読むだけでも、しっかりしていそうという感じは伝わってきますが)。匿名性を守るためにお面をつけて登場(かなり斬新な形状)。ご自身のことを「おばちゃん」と表現されていますが、ほっそりした方で、声の印象も若い感じでした。


出口さんからの、「ちきりん」さんへのrequestは「答えに窮するような質問をして、(出口さんの)深い部分を引き出してほしい」だったそうです。ちきりんさんからの質問は「トレードオフに直面した際、どのように行動すれば良いか」という、切り口のものが多数。出口社長も「答えるのが難しいですが・・・」と言いながら、歴史を紐解きつつご自身の世界観を表現されておりました。


まさにrequest通りです。ちきりんさんの素晴らしい「質問力」と、出口社長の「包容力?」で、楽しい対談を聴くことが出来ました。面白いなぁ、と思った内容を記録しておきます。
(聞き違い、勘違いなどにより、お二人が伝えたかった内容と異なる可能性があります。
Q&A形式で記載しますが、時系列通りではありません。話が繋がっているかな、と思ったところは適宜つなぎ合わせています。)


※(ち)ちきりんさん、(出)出口社長
1. いいとこどりは出来ない
(ち)「やるべきことは全部やるのが大事」という考え方と、「捨てることが大事」という考え方があります。出口社長はどうお考えですか?
(出)やりたいこと、やるべきこと全部をやるのが理想と言われます。(仕事、家庭、趣味の両立という次元でも、仕事の中でも。)しかし現実はそんなにうまくいきません。時間は有限です。いいとこどりは出来ないことを認め、捨てる覚悟が必要です。
(ち)では何を選ぶのか?どうやって選ぶのか?
(出)迷ったら「自分の好きなこと」を選びましょう。自分の好きなことがわからなかったら10円玉を投げて選びましょう。始めて見て違うな、と思ったら修正すれば良いのです。

人生において大事なことは、
・ちゃんと寝ること
・美味しいものを食べること
・やりたいことをやること
の三つです(出口社長と、ちきりんさんの合意事項。私も完全に同意。)。


2. 合わないと思ったら仕事は変えましょう
(ち)仕事に違和感を感じたとき、「合わない仕事は変えよう」という考え方と、「我慢してでも仕事にかじりつく」という考え方があります。30代でこれから、、、という人が仕事に違和感を感じているとしたら、どんなアドバイスをしますか?
(出)新入社員時代〜3年間は別ですが、合わないと思ったら仕事は変えた方がよいでしょう。恋愛を考えてみて下さい。恋人が合わないと思ったら我慢しますか?夫婦のように「契約」があれば別ですが、恋人なら別れるでしょう。仕事は人生においては1割程度の重要性しかもちません。仕事を変えることに対して、それほど深刻に考えることはありません。
(ち)仕事を変えた方が良いかどうかの、何か判断基準はありますか?
(出)二つあります。
1)朝起きて会社に行きたいと思うか?を自分に問うてみましょう。
5段階で評価し、一ヶ月記録しましょう。平均点があまりに低いようであれば、仕事を変えた方が良いでしょう。

2)リーダーの方針と、自分の信念や世界観が合わないときも変えた方が良いでしょう。
組織はリーダーの考えている以上のことは出来ません。ブッシュ政権下で、イラク戦争反対と思っている閣僚がいても、止めることは出来ませんでした。


3. インプットもアウトプットも大事
(ち)本日のプレゼンで「インプットこそ大事(アウトプットは自然についてくる)」と仰っていましたが、「アウトプット」を前提にしない「インプット」は無意味ではないでしょうか?
(出)確かにアウトプットを前提にすると、インプットの効果が高まります。ただ、現状の大学生を見ていると、インプットの絶対量が足りていないように感じるのでインプットの重要性を強調しました。ライフネットに北京大学出身の共産党員の若い方を迎えました。彼は非常に優秀です。
英語は堪能だが日本語は苦手、、とのことですが、よく本を読んでいます。昔は村上春樹が好きだったが、今は森鴎外夏目漱石を好んで読むとのこと。当時の日本と今の中国の状況が似ており、大変勉強になるとのこと。休日には漱石の墓参りに行ってきたといいます。このような人達と勝負していくことが必要なのです。日本の学生のインプットの少なさに不安を感じます。


4. 歴史の転換点と日本の課題
(ち)歴史が大きく変わるキッカケとなった出来ごととして、出口社長が重要と思われるものは何ですか?
(出)歴史の転換点というものは、時間が経たないと分かりません。リーマンショックの影響は大きいものでしたが、2年経って振り返ると「循環要因ではないか?」という気もします(最終的な判断はまだ出来ません)。東日本大震災インパクトもまだ分かりません。
パラダイムが転換した事件は「冷戦終結」「インターネットの普及」でしょう。

「冷戦終結」により、中国・インドが西側経済に入ってきました。人口ボリュームは多大で、インパクトは大きかったと思います。
「インターネットの普及」により情報伝達コストが大幅に下がりました。「良貨が悪貨を駆逐する」時代になったと思います。


今回の大震災の影響は大きいですが、日本の課題は大きく変わっていません。1)少子化、2)財政問題、3)競争力の低下です。これに4)復興が加わります。いずれも解決可能な問題であり、日本の将来には楽観しています。少子化などはスウェーデンやフランスなどの先例を学ぶことが出来ます。いままで日本は何もしていなかったので、これから取り組みを行えば状況は良くなるのではないでしょうか。


出口さんの本(読み途中)

百年たっても後悔しない仕事のやり方

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ちきりんさんの本

ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法

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